不妊治療
川崎レディースクリニックでは、
不妊症とは
一般的な生殖年齢カップルの妊娠率は、避妊せずに通常の夫婦生活を行った場合、半年間で約65%、1年間で約80%、2年間で約90%とされています。
不妊症は、1年以上たっても妊娠に至らない場合と定義されており、5組のうち1組、つまり約20%のカップルが不妊症だといわれています。
不妊治療で診る症状
不妊治療を検討されるきっかけとなる症状は人それぞれですが、
- 生理不順(月経周期が極端に短い、あるいは長い)
- 生理痛が非常に強く、年々悪化している
- 不正出血がある
- おりものの量や色、においがいつもと違う
- 基礎体温を測った際に、高温期と低温期の差がはっきりしない
これらの症状は、排卵障害や子宮内膜症、あるいは性感染症などの
不妊症の原因
男性側に原因がある場合は約45%、女性側に原因がある場合は約55%です。
男女ともに原因がある場合は約25%で、そのうち原因不明と診断される割合は10~15%に及びます。
妊娠成立の一連の過程のどこかに障害があれば、不妊症ということになります。
妊娠成立の過程
- 精子が膣内に射精される
- 精子が子宮内に移動
- 精子が卵管に移動
- 排卵した卵子と精子が卵管で受精
- 受精卵が子宮内膜に着床して妊娠成立
不妊治療で診る病気
不妊症の原因は多岐にわたり、
女性側に原因がある主な疾患
女性の不妊原因は、主に排卵、卵管、子宮、
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)・・
卵胞が発育するのに時間がかかり、 排卵がスムーズに行われない状態です。 - 卵管閉塞・卵管周囲癒着・・
性感染症であるクラミジア感染症などが原因で卵管が通りにくくな り、精子と卵子が出会えなくなります。 - 子宮筋腫・子宮内膜ポリープ・・
子宮内に良性の腫瘍ができることで、 受精卵の着床を妨げることがあります。 - 子宮内膜症・・
本来は子宮の内側にあるはずの内膜組織が別の場所にできる病気で 、癒着を引き起こし不妊の原因となります。 - 黄体機能不全・・排卵後のホルモン分泌が不十分で、
子宮内膜が着床に適した状態に保てない病態です。
男性側に原因がある主な疾患
男性不妊は全体の約45%に関与しているとされており、
卵管因子
女性の不妊症で最も多い原因で、卵管の通過障害が考えられます。
性感染症のクラミジア感染症が原因となっていることが多いですが、クラミジア感染症になってもほとんどの女性は無症状です。そのため、感染したまま治療せずに放置していると、卵管が狭くなり、運動性低下につながります。
子宮因子
子宮内の環境が悪いと受精卵がうまく着床できません。子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮形異常などがあげられます。正確に診断するためは、超音波検査だけでなく、子宮鏡により評価します。
近年は慢性子宮内膜炎と不妊症の関連が注目されていて、慢性子宮内膜炎と診断された場合には、適切な抗生剤を投与します。
また、鉄不足、銅過剰、亜鉛不足、ビタミンD不足は不妊症との関連が指摘されています。食事で接種した銅が体外に排出されず、体内に蓄積されるwilson病の方は、妊娠しにくいといわれています。銅と亜鉛は小腸、十二指腸で吸収され、亜鉛を接種することにより血中銅濃度が低下し、着床しやすくなります。
それから、ビタミンDが低下していると、着床率の低下、不育症、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病につながりやすいとされるため、血液検査で25OHビタミンDを測定します。
頸管因子・免疫因子
子宮頸管中に分泌される抗精子抗体により、精子が子宮頸管を通過することが困難になっている状態です。
不妊治療に関する検査
妊娠に至るまでのどの過程に障害があるのかを調べるため、
1. 基礎体温の確認
毎朝の体温を記録していただくことで、排卵の有無や月経周期、
2. ホルモン検査
血液検査を行い、卵胞刺激ホルモン(FSH)
3.クラミジア検査
女性の不妊症で最も多い原因で、卵管の通過障害が考えられます。性感染症のクラミジア感染症が原因となっていることが多いですが、クラミジア感染症になってもほとんどの女性は無症状です。そのため、感染したまま治療せずに放置していると、卵管が狭くなり、運動性低下につながります。
4. 超音波検査
経膣エコーにより、子宮の形や内膜の厚さ、卵胞の発育状況、
5. 卵管通水試験
卵管に生理食塩水を注入し、通り具合を確認する検査です。
6. 子宮鏡検査
子宮内膜の状態、卵管の通過性を評価します
7. 精液検査
当院では顕微鏡を用いて精子の動きを確認します。
これらの検査結果をもとに、特定の疾患を否定(
当院の不妊治療診療について
川崎レディースクリニックでは、
タイミング療法から始める自然なアプローチ
まずは最も身体への負担が少ない「タイミング療法」
お薬による排卵のサポート(卵巣刺激法)
排卵が不安定な方や、より確実に妊娠率を高めたい場合には、
- シクロフェニル療法・・脳に働きかけて排卵を促す、
比較的マイルドなお薬です。 - クロミフェン療法・・広く使われている排卵誘発剤で、
脳のフィードバック機能を調整して卵胞の発育を助けます。 - レトロゾール療法・・近年、
多嚢胞性卵巣症候群の方などに有効性が認められているお薬です。 - ゴナドトロピン療法・・直接卵巣を刺激する注射で、
強い効果が期待できますが、多胎妊娠などの注意も必要です。
内服薬による卵巣刺激
①シクロフェニル療法
下垂体に作用し、ゴナドトロピン(FSH、LH)分泌を高めることで、弱い排卵誘発効果があります。
抗エストロゲン作用を持たないため、頸管粘液減少、子宮内膜菲薄化などの副作用はありません。
生理3日目から7日間服用いただきます。
②クロミフェン療法
抗エストロゲン作用のある薬です。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)であり、エストロゲン受容体に結合しますが、エストロゲンのような生理活性を持たないため、エストロゲンの拮抗薬として働きます。
脳の視床下部のエストロゲン受容体に対して内因性エストロゲンと競合的に結合し、エストロゲンによるネガティブフィードバックを阻害。視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌と下垂体からのゴナドトロピン(LH、FSH)の分泌を増加させ、卵巣を刺激して卵胞の発育を促進します。
③レトロゾール療法
アロマターゼはアンドロゲン(男性ホルモン)をエストロゲンへ転換する生合成酵素です。アロマターゼ阻害剤であるレトロゾールを生理5日目から5日間服用することで、視床下部の対するエストロゲンのネガティブフィードバックを阻害し、GnRHとFSHの産生が増加します。近年、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)に対して、クロミフェンとレトロゾールにより妊娠率を比較したランダム化比較試験で、レトロゾールの有効性が報告されています。
注射による刺激
④ゴナドトロピン療法
クロミフェンがSERMとして抗エストロゲン作用を示して間接的に排卵を誘発するのに対して、直接的にFSH、LHなどのゴナドトロピンを投与する方法です。
卵巣へ直接作用するため、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用があります。
一般的に卵胞が16~18mm以上に発育するまでhMG製剤(150単位)を隔日投与し、その後にLH作用を有するhCG製剤(5000単位)を投与して排卵を誘発します。hCG投与後の排卵は通常36~48時間の間に起こることが多いとされています。
人工授精療法と「ミグリス」の導入
タイミング療法でなかなか結果が出ない場合、
従来の遠心分離法では精子に物理的なストレスがかかることがあり
人工授精当日、射精後2時間以内に精液を持参していただき、精子調整に約1時間を要します。
対象者
- タイミング療法を3~6カ月以上行っても妊娠に至らない方
- 精液の所見不良(乏精子症など
- 性交障害
- フーナーテスト(性交後試験)不良
- 原因不明の方
- ミグリス
一般的な人工授精で用いるバーコール法による遠心沈降法に伴う精子のストレスを避け、良好な精子を採取することが可能です。
容器の外側に精液を注入後、培養液を溢れさせ精子を覆う程度まで注入すると、運動精子のみが内側の壁を越えます。中央の底部に集まった運動精子を採取する仕組みです。
- ミグリス
原因不明不妊症の治療法と妊娠率
| 治療法 | 周期あたりの妊娠率 |
|---|---|
| 無治療 | 1.3~4.1% |
| 人工授精 | 3.8% |
| クロミフェン | 5.6% |
| クロミフェン+人工授精 | 8.3% |
| ゴナドトロピン | 7.7% |
| ゴナドトロピン+人工授精 | 17.1% |
| 体外受精 | 20.7% |
ただし、上記図のように、原因不明の不妊に対して自然周期の人工授精の妊娠率は低く、卵巣刺激法を行った方が妊娠率は上がります。
ゴナドトロピンを使用して卵巣刺激を行うと、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群のリスクが上がるため、超音波検査で大きな卵胞が成長していないかどうかを確認しています。
体外受精へのスムーズな連携
人工授精を数回行っても妊娠に至らない場合、体外受精(IVF)
保険適用と費用の明瞭化
2022年4月より不妊治療が保険適用となりました。
料金について(目安)
| 項目名 | 保険点数・費用(3割負担の場合) |
|---|---|
| 一般不妊管理料(3ヶ月に1回) | 250点(約750円) |
| 人工授精(1回につき) | 1,820点(約5,460円) |
| 超音波検査 | 約1,500円程度 |
| AMH検査(自費・卵巣予備能検査) | 約2,300円程度 |
※お薬代や追加の検査、初再診料などが別途かかります。
院長よりメッセージ
「なかなか子供ができない」という悩みは、誰にも相談できず、お一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、不妊治療は決して特別なことではありません。川崎レディースクリニックでは、患者さんが「ここに来てよかった」と思えるような、温かく安心できる診療を心がけています。
不妊の原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。私たちは産婦人科専門医の視点から、何が妊娠の妨げになっているのかを丁寧に、そして多角的に分析します。もし治療中に病状が安定し、寛解(病状が落ち着いて安定している状態)を目指すべき疾患が見つかった場合も、適切に対処いたします。
「川崎駅」から徒歩2分の当院は、お仕事をお持ちの方でも通院の負担を最小限に抑えられるよう配慮しています。まずは少しだけ勇気を出して、お話を聞かせてください。スタッフ一同心よりお待ちしております。
不妊治療についてのよくある質問
Q1. 30代後半ですが、今から不妊治療を始めても遅くないでしょうか?
A1. 決して遅すぎることはありません。確かに年齢とともに妊娠率は低下しますが、まずは現在の卵巣の状態やホルモンバランスを詳しく調べることが重要です。年齢に合わせた最適なステップアップを一緒に考えていきましょう。
Q2. 仕事が忙しいのですが、通院頻度はどのくらいですか?
A2. 治療法によりますが、タイミング療法や人工授精の場合、生理周期に合わせて月に2回から4回程度の通院が必要になることが多いです。「川崎駅」からすぐの立地ですので、お仕事の前後に立ち寄られる方もたくさんいらっしゃいます。
Q3. 人工授精は痛みがありますか?
A3. 個人差はありますが、基本的には細いカテーテルを使用するため、強い痛みを感じることは少ないです。リラックスして受けていただけるよう、私たちは最善の注意を払っています。
Q4. 男性も一緒に受診したほうが良いですか?
A4. もちろん、ご一緒の受診は大歓迎です。不妊治療はご夫婦二人の協力が不可欠です。精液検査など、男性側のステップも非常に重要ですので、可能であればぜひご一緒に説明を聞きにいらしてください。
