当院は女性のためのクリニックです。私たちは、産婦人科専門医としての知見を活かし、患者さん一人ひとりのライフスタイルや体調に合わせたピルの処方を行っています。当院の強みは、避妊目的だけでなく、つらい生理痛(月経困難症)やPMSの改善、さらにはニキビ治療など、多角的な視点からピルを提案できる点にあります。保険診療と自費診療の両方のピルを院内でスマートに処方し、お忙しい方でもスムーズに受診いただける環境を整えております。
ピルの施術について
ピル(経口避妊薬)は、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を配合したお薬です。一般的に広く利用されているのは、ホルモン量を最小限に抑えた低用量ピルです。ピルは単なる避妊の道具ではなく、女性が自身の体調やライフサイクルをコントロールするための大切な選択肢の一つです。当院では、患者さんがより健やかな毎日を送れるよう、最適なピルの選択をサポートいたします。
ピルの作用メカニズム
ピルを服用することで、体内の女性ホルモンバランスが一定に保たれます。これにより、脳が「ホルモンは十分にある」と判断し、卵巣への排卵指令を休ませます。排卵が止まることで、受精が起こらなくなります。また、ピルには他にも以下のような強力な作用があります。
- 子宮内膜を薄く保ち、受精卵が着床しにくい状態にする。
- 子宮の入り口にある粘液(頸管粘液)を変化させ、精子が子宮内に侵入するのを防ぐ。
- 卵巣を休ませることで、ホルモン変動による体調不良を軽減する。
ピルで期待できるメリット
ピルの最大の目的は高い避妊効果ですが、副効用(避妊以外のメリット)も非常に多岐にわたります。当院でも、生理痛や月経不順の改善を目的として来院される患者さんが多くいらっしゃいます。主なメリットは以下の通りです。
- 生理痛(月経困難症)の軽減。
- 月経量の減少による貧血の改善。
- 月経周期の安定化。
- 月経前症候群(PMS)や月経前気分不快症候群(PMDD)の緩和。
- 大人ニキビや多毛症の改善。
- 将来的な卵巣がん、子宮体がん、大腸がんの発症リスク低下。
- 骨粗鬆症、関節リウマチの発症率低下
生理にまつわるお悩みについては、「月経困難症・月経不順・月経前症候群」のページでも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
避妊率の正確な理解
避妊方法を選択する際、その効果を正しく知ることは非常に重要です。避妊の効果を示す指標として「パール指数」が用いられます。これは、100人の女性が特定の避妊法を1年間継続した際に、何人が妊娠したかを示す数値です。ピルの避妊効果は、他の方法と比較しても極めて高いことがわかっています。
主な避妊方法と失敗率(パール指数)
- ピル・・0.3%(適切に使用した場合)。
- ミレーナ(子宮内避妊システム)・・0.14%。
- コンドーム・・2%(正しく使用した場合)から14%(一般的な使用)。
- 膣外射精・・22%。
コンドームは性感染症予防には必須ですが、避妊方法としては破裂や脱落といった不確定要素があるため、ピルに比べると確実性は下がります。ピルは女性自身が主体となって行える、非常に自立した避妊方法といえます。避妊リングとの比較を検討されている方は、「緊急避妊 避妊リング(ミレーナ)」のページも参考にしてください。
ピルの副作用と安全性について
ピルを検討する際に、多くの方が不安に感じるのが副作用です。医学において「副作用はほとんどない」と断言することはできませんが、適切な知識を持ち、体調の変化に注意を払うことで、安全に継続することが可能です。
マイナートラブル
飲み始めの1~2周期目には、体がホルモンバランスの変化に慣れるまでの間、以下のような症状が出ることがあります。これらは多くの場合、継続することで自然に改善していきます。
- 不正出血(予定外の時期に出血する)。
- 吐き気、嘔気(吐き気止めの併用も可能です)。
- 頭痛。
- 乳房の張り。
- 浮腫み(むくみ)。
子宮頸がんのリスク(乳がんのリスク)
子宮頸がんのリスクはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。ちなみにコンドームで予防できる性感染症もありますが、HPVは外陰部や肛門にも存在しているため子宮頸がんの予防効果は期待できません。ピルを5年以上服用している方は、子宮頸がんのリスクが1.1倍上昇すると言われており、毎年子宮頸がん検診をお勧めします。
また乳がんはエストロゲン依存性疾患ですが、家族歴に関わらずピル内服により乳がんリスクの可能性は低いと言われています。
性感染症について
ピルは避妊効果は非常に高いですが、性感染症の予防効果はありません。性感染症を予防するためにはコンドームを使用することが望ましいです。
重大な副作用・・血栓症について
ピル服用において最も注意すべきなのは、血栓症です。血栓症とは、血液の一部が固まって血管を詰まらせてしまう状態です。ピル服用による血栓症のリスクは、一般の人の約3倍と言われていますが、実は妊娠中(約12倍)や産後(約40~60倍)のリスクよりも低いです。
当院では、内服開始前に血栓症のリスク因子(喫煙、肥満、血圧、家族歴など)を徹底して確認し、安全性を優先した処方を行います。血栓症の初期症状に早く気づくことが、重篤化を防ぐ鍵となります。
ピル服用を直ちに中止すべき症状
以下の症状が現れた場合は、血栓症の疑いがあるため、直ちに服用を中止して救急医療機関を受診するか、当院へご連絡ください。これらは「ACHES(エイシス)」と呼ばれる重要なサインです。
- A(Abdominal pain)・・激しい腹痛。
- C(Chest pain)・・激しい胸痛、息苦しさ、押しつぶされるような痛み。
- H(Headache)・・突然の激しい頭痛、持続する頭痛、めまい。
- E(Eye problems)・・視力障害、視野が狭くなる、物が二重に見える。
- S(Severe leg pain)・・ふくらはぎの激しい痛み、腫れ、赤み、むくみ。
ピル服用後の妊孕性について
「ピルを長く飲むと将来妊娠しにくくなるのでは?」と心配される方がいますが、そのような事実はありません。ピルには排卵を休ませる作用がありますが、中止すれば速やかに卵巣機能が回復します。正常な月経周期の方であれば、服用中止後、5週間以内に排卵が再開し、3ヶ月以内には約95%以上の方に生理が戻ります。ピルを飲んでいたことが、将来の不妊の原因になることはありませんのでご安心ください。
当院でおこなっているピルの診療について
川崎レディースクリニックでは、患者さんのライフスタイルや目的に応じて、複数のピルをご用意しています。私たちは、単にお薬を渡すだけでなく、長期的な健康維持をサポートするパートナーでありたいと考えています。
取り扱っているピルの種類
ピルは含まれるプロゲステロン(黄体ホルモン)の種類によって、世代ごとに特徴があります。当院では以下の4世代の低用量ピルを取り扱っています。
- 第1世代(ノルエチステロン配合)・・月経困難症への効果が高く、生理の量を減らす力が強いのが特徴です。
- 第2世代(レボノルゲストレル配合)・・ホルモンバランスが安定しており、不正出血が起こりにくいタイプです。
- 第3世代(デソゲストレル配合)・・男性ホルモンを抑える作用が強いため、ニキビ治療や多毛症の改善に適しています。
- 第4世代(ドロスピレノン配合)・・新しいタイプのホルモンを含み、むくみが出にくく、PMS(月経前症候群)の改善に優れています。
このほか、旅行や大事な試験などと生理が重ならないように調整する中用量ピル(月経移動ピル)も処方可能です。
飲み忘れた場合の対処法(WHO基準)
もし飲み忘れてしまった場合でも、慌てずに対処しましょう。基本的には気づいた時点で1錠をすぐに飲み、その日の分も通常通りに服用します。
- 1~2日の飲み忘れ・・気づいた時点で飲み、その後は通常通り継続。避妊効果はほぼ維持されます。
- 3日以上の飲み忘れ・・一度服用を中止し、次の生理が来てから新しいシートを開始してください。その間は別の避妊法(コンドーム等)を併用してください。
- 偽薬(プラセボ)の飲み忘れ・・避妊効果に影響はありません。飲み忘れた分を破棄して継続してください。
ピルを内服できない方・注意が必要な方
ピルは優れたお薬ですが、体質や持病によっては服用できない場合、あるいは慎重な判断が必要な場合があります。以下の項目に該当する方は、必ず事前にお申し出ください。
内服できない方(禁忌)
- 35歳以上で1日15本以上喫煙する方。
- 前兆(閃輝暗点)を伴う偏頭痛がある方。
- 血栓症の既往がある方。
- 乳がん、子宮体がんの方、またはその疑いがある方。
- 重度の高血圧や、血管病変を伴う糖尿病の方。
- 手術前4週間以内、または手術後2週間以内の方。
注意が必要な方(慎重投与)
- 40歳以上の方。
- 肥満(BMIが30以上)の方。
- 子宮筋腫がある方。
- 乳がんの家族歴がある方。
- 軽度の高血圧の方。
当院でのピル処方の流れ
当院では、お忙しい方でもスムーズにピルを継続できるよう、効率的な診療フローを導入しています。
1.受付・問診
受付にて問診票をご記入いただきます。これは血栓症リスクを確認するための大切なステップです。処方のみであれば受付でお伝えいただきますとスマートに処方します。
2.診察・カウンセリング
産婦人科専門医が、現在の症状やピルを希望する目的を伺います。既往歴や現在服用中の薬との飲み合わせも確認し、最適な種類を選定します。
3.検査(必要に応じて)
安全に継続するため、定期的な採血や子宮頸がん検診、性感染症検査をお勧めしています。特に血栓症リスクが懸念される場合は、血液凝固検査(Dダイマー)を行うことがあります。
4.お会計・院内処方
お会計後、その場でお薬をお渡しします。当院ではクレジットカードでのお支払いが可能で、まとめ処方にも対応しています。
服用法がわからない、副作用が出たという場合は、メール・お電話でも相談を受け付けています。
Q1.ピルを飲むと太ると聞いたのですが本当ですか?
A1.ピルそのものの成分で太る(脂肪が増える)という科学的根拠はありません。ただし、飲み始めにホルモンバランスの変化で食欲が増したり、浮腫み(むくみ)を感じたりすることで「太った」と感じる方はおられます。多くの場合、数ヶ月で落ち着きます。
Q2.ピルで将来の妊娠が難しくなったりしませんか?
A2.ピルの服用が将来の妊孕性(にんようせい:妊娠するための力)を低下させることはありません。むしろ、ピルを服用することで子宮内膜症の進行を抑えたり、卵巣がんのリスクを下げたりすることが、将来の妊娠にとってプラスに働くことも多いです。3ヶ月後には95%の方に月経が再来します。
Q3.休薬期間に生理が来ないことがありますが、大丈夫ですか?
A3.ピルによって子宮内膜が薄く保たれていると、休薬期間に出血(消退出血)がほとんど起こらないことがあります。1周期であれば様子を見ても構いませんが、2周期連続して出血がない場合は、妊娠の可能性を否定するために検査が必要です。
Q4.アフターピル(緊急避妊薬)も扱っていますか?
A4.はい、取り扱っております。避妊に失敗した、あるいは避妊なしの性交渉があった場合は、72時間以内の服用が推奨されます。早めの受診が重要です。
Q5.ピルはどのくらいの方が飲んでますか?
A5.日本でのピル内服率は約3%です。アジアの中国や韓国も約3%なので差はありません。しかし欧米では約30%、最も普及しているドイツでは約50%といわれています。欧米の先進国と比べるとアジアでのピルの普及は非常に遅れていることがわかります。これからは女性が進出する時代、避妊目的だけでなく、生理痛、月経の調節などピルの正しい知識が普及して治療の選択肢が増えてくる事が望ましいと思います。
Q6.ピルは、避妊効果や月経痛軽減の他に、メリットはありますか?
A6.婦人科腫瘍からみると、ピルには長期間服用することにより卵巣がん、大腸がん、子宮体がんのリスクが減少するメリットが大きいと感じます。ミレーナには子宮内膜を薄くさせるので子宮体がんのリスクは減少しますが、卵巣がんへ関与する排卵抑制作用がないため、40歳以下の方にはピルをお勧めしています。1日15本以上喫煙する方、採血で肝機能障害がある方、40歳以上、肥満、毎日内服するのが難しい方、費用をできるだけ抑えたい方には、避妊リングをお勧めしています。
Q7.避妊方法はどれがいいですか?
A7.避妊効果が高いピルか避妊リングが望ましいです。それぞれ特徴があり、個々に応じて相談しています。
院長より
ピルに対して「怖い」「不自然」というイメージをお持ちの方もまだいらっしゃるかもしれませんが、現代を生きる女性にとって、ピルは自分らしく輝き続けるための強力なサポーターになり得ます。私たちのクリニックでは、単にお薬を出す場所ではなく、患者さんが自身の体について深く知り、納得して治療を選択できる場所でありたいと考えています。生理痛やPMSを「体質だから」と諦めないでください。川崎駅からすぐの場所で、いつでもあなたをお待ちしています。どんな些細な不安でも、お気軽にご相談ください。私たちと一緒に、もっと心地よい毎日を目指していきましょう。